何も手を打たずに放置していると最悪の展開に。
今回は、この状態になってしまった場合に起こることと、その動き方を解説します。
※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。
期限の利益喪失は競売の準備段階
期限の利益喪失通知書とは?
住宅ローンを数か月連続して滞納してしまった場合には、金融機関は、借金の全額回収の準備を始めます。
その第一歩がこの期限の利益喪失の通知となります。
これは、今まで分割払いでよかった借金を、一括で返済してもらうように言えるようになりましたよ。という意味の通知です。
金融機関が、本来、分割払いの方が回収しやすい借金を、敢えて一括で返済してもらう状況にしたという事は、担保にとっている不動産を競売にかけて売却代金から回収することを決めたという事です。
もし、何らかの理由で少し滞納しただけであれば、この時点で金融機関に連絡して、話し合いをさせてもらいましょう。
ここが最後のタイミングです。
このタイミングを過ぎてしまった場合、競売を待つか、後述する任意売却という方法で回避するかの二択しか残されません。
競売手続きに入ってしまうと
期限の利益が喪失して、一括返済に切り替わった後は、金融機関は、その借金の債権を、債権回収会社に売却します。
その後は、債権回収会社が借金の債権者として手続きを進めることとなります。
債権回収会社は、裁判所に競売の申立てをして、裁判所が認めた場合、競売手続きに入ります。
競売手続きは最短で6か月程度で進みます。6か月後には、家から退去しなくてはならなくなります。
競売の情報が公開される
競売の開始決定がされると、その情報が公開されることになります。自分の家が競売にかかることが、一般的に情報公開されてしまうのです。
近隣や友人などに、競売にかかることが知られてしまう可能性があります。
また、その後の過程でも、裁判所の執行官が部屋の中に入り、写真撮影や、質問をしたりして、その内容も公開されることになります。
強制的に追い出される
競売が終了して、落札者が確定した場合、その落札者が退居の話をしに来ることになります。
その時点では、すでにその家は落札者の所有権になることが確定していますので、その落札者の家に勝手に住んでいる状態になってしまいます。
他人の家に無断で住んでいるのと同じ状態になってしまうということですので、法律的には、何をどうやっても、退去しなければならないのです。
引越し先を見つける時間や、引越し費用などが無かったとしても、落札者の性格が悪くて気に入らなかったとしても、全く関係ありません。
もしも、この話し合いで、退居をしなかった場合は、裁判所による強制執行手続きに入ることになってしまいます。
強制執行は白昼大騒ぎ
強制執行は基本的に2回に分けて行われます。これから強制執行をするぞ、という催告。実際に執行する断行です。
筆者は強制執行手続きも何度も行っておりますが、当日は、裁判所の執行官と立会人、債権者(落札者)と強制執行専門の引越業者多数(執行業者)、鍵屋と大人数で、物件の前に集まり、騒がしくなります。
午前中の時間帯に、住宅地やマンション内で大人数で行う行為なので、かなり目立ちます。玄関扉の鍵を閉めていても強制開錠です。家財道具も何もかも一式すべて執行業者が大人数であっという間に運び出してしまいます。
ですから、競売にかかってしまった場合でも、この状態になることは絶対に避けたほうがいいです。
任意売却ならば、競売を避けられる
競売になることを避けるためには、基本的には任意売却という方法を取るしかありません。
これは、不動産を一般取引に近い形で売却して、その売買代金で借金を一括返済するという方法です。
もちろん、借金の残額より、売買代金が安かった場合は借金は残りますし、こういった状態なので、高値売却は難しいですが、それは競売でも同じです。
一般の不動産取引に近い形ですので、近所にバレないように手続きを行えますし、諸々の経費の相談も行いやすいです。
他にも、売った後にその家に賃借するというリースバック、買い戻しという方式ができる場合もあります。
この任意売却は、ある程度熟練の不動産業者ではないと難しい手続きとなります。
会社の質というよりは、担当の質に左右されやすいため、賢くて親身に相談に乗ってくれる人を選ぶのがポイントです。
期限の利益を喪失してしまった後は、こういった流れになりますので、時間も少なく、高値売却も難しい状況に置かれてしまいます。ですから、ベストは、滞納しそうなタイミングで売却に動き始めることです。
期限の利益喪失前であれば、一般取引として売却が可能なので、時間を使って相場で売ることができる場合もありますので。
ただし、借金の額と不動産の価格によっては、任意売却にしてしまった方が良い場合もありますね。
いずれにせよ、自分が信頼できる不動産業者を見つけることが一番大事です。