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私道持分が無いときの三箇条と永久承諾

私道に接道している物件の売買には、注意点が沢山あります。
私道は、私人が所有しているため、公道と違って自由に利用できないという制限がかかるためです。今回は、私道持分が無い時に気を付けるポイントを説明します

※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。

私道持分が無いときの三箇条

 

私道持分とは?

私道は、その私道に接道する建物を所有している人たちで、共有していることが多いです。この共有持分のことを私道持分と言います。

私道持分を有している人は、私道の所有権の一部を所有していると言えますので、私道を、共有持分に従って、ある程度利用する権利を有します。

第249条
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

第252条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

民法249条 民法252条

以上が共有者の権利関係を記した民法の条文です。

要するに、私道の持分を保有している人は、その私道に対し、保存行為は自由にでき、自分の道路としての使用も自由にできるという事になります。ただし、道路の形状を大幅に変更するときは、過半数の決議が必要となります。

よって、この私道に埋設されている自分の配管が破損・劣化したときなどは、自分の意思で工事することができますし(保存行為)、基本的には、建物の再建築などの時に道路を使用することも、自由に行えます。

 

私道持分が無い場合は?

これが、私道の持分が無い場合はどうなるでしょうか?

私道の持分が無いと、まず、利用が制限されるリスクがでてきます。例えば、建物を再建築しようとした際に、その道路の使用に許可が必要となってきます。

また、自分の建物に引き込まれている配管にトラブルや破損が生じたときにも同様に許可が必要です。基本的に私道に絡む事柄を行うときに、私道所有者の許可が必要になってしまいますので、不都合が多くなってしまいます。

 

使用・掘削・通行許可の合意書

前面道路が私道に接しているが、持分が無い建物を保有している場合は、何かをするたびに、原則私道所有者の許可が必要となってしまいます。

建物を購入したはいいが、私道所有者の許可が得られず、再建築ができなくなってしまった。などの事後の問題が生じやすくなります。

よって、私道持分を有しない不動産を取引する際には、必ず「使用」「掘削」「通行」の三箇条の許可書をとる必要があります。

この許可書が取得できないと、取引が困難になりますので、

私道持分が無い場合は注意が必要です。

 

POINT
・私道持分を持っている場合は、共有物としての行為ができる
・私道持分が無い場合は、「使用」「掘削」「通行」の三箇条の許可書をとる必要がある。

この許可書を取引の都度取得するのも大変ですので、
「永久承諾」といって、私道に接する土地建物の所有者が、その土地建物を第三者に転売した場合でも、引き続き効力を有する。という文言を盛り込むことが習慣となっています。「永久承諾」の文言を入れ忘れないようにしましょう

また、私道持分を有している時も、念のために許可書を取得する場合もあります。