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不動産投資で考えたい実質利回りと投下資本利益率

不動産投資を行う際に、その物件の収益力を算出する為によく使われるのは、表面利回りです。表面利回りとは、物件価格と物件から生み出される年間収益の指標です。しかし、融資を利用する場合は、表面利回り以外にも考慮したい指標があります。それが実質利回り(NOI利回り)と資本投下利益率です。

※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。

不動産投資の利回りと投下資本利益率

 

利回りとは?

利回りとは、物件価格と物件から生み出される年間収益の指標です。

年間賃料100万円の物件を1000万円で購入したばあいは、100万円÷1000万で、利回り10%と計算します。

1000万円の資本に対し、年間10%の収益が発生する。という事です。

ただ、これは購入価格と年間収益をざっくりと計算したもので、表面利回りといいます。

 

実質利回りとは?

しかし、物件価格1000万円だとしても、購入経費も掛かりますし、年間賃料100万円だとしても、保有コストも発生します。この経費を控除して計算したものを実質利回り(NOI利回り、NET利回り)などと言います。

物件価格1000万円で購入経費が100万、改修費が100万必要とされた場合は、取得費が1200万円ですね。

年間賃料が100万だとして、税金が年間10万、管理料が年間5万、原状回復費が年間5万だとすると、実際の収入は80万円となります。

また、物件に常時賃借人が入居しているわけではありませんので、一定の空室率が発生します。この物件の空室率を90%と仮定しますと、期待収入は80万×90%=72万ですね。

購入経費1200万円に対し年間72万円の収入なので、実質利回りは72万÷1200万の6%となります。

 

表面利回りだけで考えると危険

物件の修繕費や、年間支出は、各物件でそれぞれ異なります。ですから、同じ利回り10%でも実質利回りは大きく異なることが生じます。

例えば、下記のような物件があったとします。

物件A:価格1000万 年間賃料100万(改修費350万・年間支出10万・空室率90%)
物件B:価格1000万 年間賃料100万(改修費50万・年間支出20万・空室率95%)
物件A:表面利回り10% 実質利回り 5.9%
物件B:表面利回り10% 実質利回り 7.1%

表面利回りでは同じ利回りと思われた物件ですが、実質利回りで計算すると、1.2%の違いが出てくることになります。

この場合、資本効率が良い物件は、物件Bという事になりますね。

 

融資の際に使える投下資本利益率

また、実際に手持ちの現金を投下していない場合はどうでしょう?

融資利用の場合は、物件価格を全額現金で支払うことはありません。フルローンもありますが、基本的には2~3割の頭金を入れて融資を受けて、物件を購入することになります。

ですから、1000万円の物件に対する投下資本は200万~300万ということになります。

先ほどの物件A、Bを融資利用したとして投下資本利益率で見てみましょう。

1000万円の物件に対し、頭金200万、年間金利の支払いを10万として計算すると

物件A:物件価格1000万 年間賃料100万(改修費350万・年間支出20万・空室率90%)
物件B:価格1000万 年間賃料100万(改修費50万・年間支出30万・空室率95%)
物件A:550万円の資本に対する投下資本利益率 12.7%
物件B:250万円の資本に対する投下資本利益率 26%

となります。物件AとBで13.3%の違いがあります。また1000万円の現金購入での利回りと比べると物件Bでは18.9%もの違いが生じています。物件Bは4年で投下資本が回収できます。

 

融資を利用するならば投下資本利益率

このように実質利回りや投下資本利益率で考えることによって、投資戦略が大きく変わってきます。不動産の広告は表面利回りで記載されていることが多いのですが、こういった計算をすることで、その物件が有している本来価値を見極めることが可能です。

表面利回りは、あくまでも参考程度の指標にしかすぎません。

 

空室率と改修費を事前に読み取ることはなかなか難しいのですが、本来そこまで読み取らなければ正確な収益力は図れません。地方のアパートなどで満室想定利回り14%などの物件が出回っていますが、空室率が50%になると7%ですので、実際は凡庸な数字だったりすることもあります。
表面利回りだけですべてを考えてしまうと大けがする可能性もありますので、要注意です。