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パワーカップルの危機とタワマン大暴落の兆し説

アベノミクス効果での不動産相場の上昇、その恩恵を最も受けていたのが湾岸をはじめとするタワーマンションでした。
主役は、相続対策の需要から始まり、中華系の外資の流入、そしてパワーカップルと呼ばれる層で、この三者の力でタワーマンションの価格は一気に上昇しました。まさにタワーのごとく上昇した相場に、ウイルス起因による経済悪化の影響が忍び寄って来ています。

※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。

タワマン大暴落の兆し

タワーマンションの主役は冒頭に述べた通り、相続税対策層、中華系外資層、パワーカップルが担ってきました。その主役たちとタワーマンションは、今どういう状況になっているのでしょう。 

 

相続税対策層

相続税対策層がタワーマンションを相続対策として買っていた理由は、不動産の相続税評価額が実勢相場と乖離しているからでした。

タワーマンションは小さい土地の上に高く建築するのが特徴ですから、土地の持ち分が非常に少なくなるのです。ですから、相続税評価額は必然的に安くなります。

また、低層階と高層階の実勢相場は、明らかに高層階の方が人気で価格が高いのにも関わらず、低層階と高層階の建物評価額に違いが無いという点もありました。

タワーマンションの高層階は、相続税評価が安く、現金で相続するよりも相続税が圧縮されるにも関わらず、実勢相場が高いので、相続後売却して換金できる。こういった仕組みがあるので、相続税対策として人気を博していました。

しかし、この建物評価額の計算方法について、平成29年に見直しが入ってしまいました。高層階の方が相続税評価が高いという実勢相場に合わせた計算方法に変更となりました。

ですから、この時点から相続税対策層の需要は減退してきているのです。

 

中華系外資層

中華系外資層は、中国本土の好景気に合わせて、金余り状態が長らく続いていました。その余ったお金は、インバウンドとして観光業、旅館業などにどんどん流れてきていましたが、日本の不動産にもかなりの額が入ってきています。

彼らが好む不動産は、いかにもわかりやすく自慢ができるような不動産です。江戸時代から続く高級住宅地ではなく、観光ガイドブックに載っているような街であったり、いかにもラグジュアリーなタワーマンションが好みだったのです。

この中華系外資層は、ウイルスの影響で経済活動を一気に止める憂き目にあっておりますので、タワーマンションを購入するどころか、売却に動き始めています。

 

パワーカップル層

最後の主役は、パワーカップル層です。パワーカップルとは、夫婦合算で概ね年収1000万円超の所得がある、購買旺盛な夫婦の事を言います。

日本の富裕層が好む不動産は、江戸時代から続くような高級住宅地の豪華な一戸建てで、タワーマンションはあまり購入しない風土があります。

ですから、マンションデベロッパーは、ITバブル時代後から派生したニューリッチ層やこのパワーカップル層の需要を主力としてマンションを建築し、住宅ローンで買える価格帯での販売をしてきました。

それに応えて、パワーカップル層は、その年収の殆どをタワーマンションにつぎ込み、タワーマンションの相場を支えてきました。

今、このパワーカップル層が危ない。と業界ではささやかれています。

夫婦合算の収入で借り入れ限界値まで住宅ローンを組んでいるため、このウイルスの影響での経済悪化で収入が少しでも減ってしまうと、一気に支払いが滞ります。相続税対策層や中華系外資層と違い、売却に耐えることができなくなりますので、そうなってしまったら、投げ売りが始まるのではないか…と。

こうなると、タワーマンションの主役三者が軒並み退場することになりますので、売りが売りを呼び、大暴落になる恐れがあります。

タワーマンション大暴落の危機が迫ってきているようです。

 

タワマンの大暴落は現実になるのか?

とはいえ、なんだかんだタワーマンションの資産価値は、底堅いと思っています。やはり、タワーマンションは設備をかなり工夫して作っているので、住みやすいことこの上無いですし、住みたいと思える魅力があります。結局は、色々な層が購買意欲を示すような物件ではありますので、下がったとしてもすぐ下げ止まると、思っています。あくまでも、私見ですが。