1991バブル崩壊、2008リーマンショック、2011東日本大震災
不動産業界は今まで何度も景気後退の波に揉まれてきました。
この業界は経済の影響を多分に受ける業界です。経済後退が始まると一気に不動産価格は下がり、沢山の不動産会社が倒産していきます。2020、新型コロナウイルスによる、コロナショックは不動産業界にどういった影響を及ぼすのでしょうか?
※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。
リーマンショック級の大暴落が起きる?
アベノミクスによる極端な高値相場
アベノミクス政策の株高に連動して、2012年ころから不動産相場は毎年値上がりを続けてきました。2012年には100だった不動産価格指数も2020年には150まで上昇がすすみ、新築マンションが日本人の可処分所得の限界を超えるところまで到達してしまいました。
もともと2019年まで不動産価格と可処分所得は乖離を続け、不動産業界ではそろそろ限界点であるという認識を持つ人間が多くなっていました。オリンピックを境に大暴落が起きるのでは…?
その矢先、2020年3月より新型コロナウイルスによって実体経済がダメージを受け始めました。株価は大幅に値下がりを続け、サービス業は倒産に追い込まれる会社も増加、今後の経済の様相は誰も予想できないような状態が進んでいます。
外資が止まり始めている
そもそも可処分所得が殆ど増加していないにも関わらず、アベノミクスで不動産価格か上昇した一因として、中華系のキャッシュが日本の不動産に流れたことが挙げられます。
インバウンド含めかなりのキャッシュが日本に流れてきましたが、不動産にも相当外資が流入しました。
その中で、新型コロナウイルスにより、中国の経済が一気にダウン、それにより外資の流入は期待できない状態になっています。
市中にお金は溢れているが…
とはいえ異次元金融緩和により、お金は市中に溢れている状態は変わりありません。
2008年のリーマンショックの経済危機は、金融への信用不安が原因で、金融の危機から始まった低迷でした。市中にお金が回らなくなったことにより、不動産の取引も低迷して結果暴落を生んだのです。
2020年のコロナショックの場合は、誰が見ても実体経済が傷んでいることが原因です。特定の業種は大ダメージを受けて再起不能に陥るおそれはありますが、それ以外の業界は、アベノミクスで貯めこんだ内部留保で耐えしのげる可能性があります。
政府は多額の経済対策の資金を投下していますし、金融機関は貸し渋りも行っておりません。お金はあるけど、使いどころが無い。とりあえず様子を見よう。というのが他の業界の今の状態でしょう。
またコロナ特需の業界もあります。衛生商品やメディア、テレワークやネットビジネスは、自宅待機の世の中で特需になっています。(あまり喜べる話ではありませんが…)
投資用レジデンスは底堅い?
現状殆どの業界が、お金はあるが使いどころが無い、お金は経済自粛の間の固定費に使いたいなどの理由で動きを止めていますが、一方で、フロー型のビジネスに頼っていた会社がストック収入を意識し始めている動きも見られます。
その中でも賃貸住宅は、ストック収入がある上に、自宅待機が原則の時勢では、退居も多くはないため、現在注目されている雰囲気があります。様子見が前提の中だとは思いますが、需要が増しそうな気配があります。
オフィス・商業ビルは先行き不透明
一方で現時点で既に打撃を受けているのが、オフィス・商業系のビルです。
商業ビルについては、このコロナショックが直撃している飲食店や店舗などで構成されているため、倒産や賃料滞納などのリスクがあります。
オフィスビルに関しては、同じ理由と、さらに、テレワークで会社が運営できることに気づいた会社が増えたことによる、将来のオフィス賃料の値下がりリスクが懸念され、取引がかなり落ち込んでいる状態です。
POINT
・不動産相場はもともと臨界点にあった
・市中にキャッシュが溢れている状況は変わらない
・経済対策によりさらにキャッシュが出回る可能性がある
・投資用レジは安定収入資産として注目
・オフィス・商業は不安視されている
今後の不動産市況はどうなっていくか
全ては新型コロナウイルスの収束時期に依存しますので、先読みできないのが現状ではありますが、仮に新型コロナウイルスが収束した場合、今まで堰き止められていたキャッシュが、ダムを解放したときのように市場に溢れる可能性が高いです。
実体経済が傷んでいる途中では投資用レジデンスは緩やかな下落。商業・オフィスビルはそこそこ大きめな下落をし続けると思われますが、新型コロナウイルス収束を契機として、すぐに回復する可能性が高いと考えています。
新型コロナウイルスによる経済活動の自粛期間によって下落幅が変わってきますので、今後の不動産業界はその期間の見極めが 非常に重要だと思われます
参考サイト:国土交通省 不動産価格指数