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スーパー台風で江戸流の家探しがトレンド?

2019年10月の台風19号は日本列島に数々の爪痕を残しました。河川の決壊による浸水被害を受けた住戸は相当数にのぼり、家屋に損害が生じたり、下水が逆流したりと、散々な結果となりました。この台風は日本人の土地に対する意識を大きく変容させたようです。

※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。

土地に対する価値観が変わった

高級住宅地は高台が多い

千代田区番町、元麻布、白金台…東京には有数の高級住宅街が立ち並んでいますが、どれも高台にあるのはご存じでしょうか。こういった高級住宅街は東京が江戸であったころから、富裕層の住まう街並みであったことが多いです。

現代の感覚ですと、高台での生活は坂道を登ったり下ったりしなければならず、不便なので価値が下がると思ってしまいますが。実は…不便な高台のほうが価値が高かったのです。

 

高台の魅力

坂道というネックがありますが、周辺の土地に比べて標高が高いため、風通しが良く日当たりも良いという魅力があります。加えて、地盤が硬く、地震などの時でも土地は沈みにくいですし、河川氾濫時でも水没しにくいので、災害リスクに強いです。

高台の住宅地に立ち寄ってみるとわかりますが、本当に風通しが良くてカラッとしててとても気持ちがいいです。高台の良さは肌で感じることができますね。

 

江戸の歴史は水災との争い

東京の前身である江戸は、徳川家康によって作られました。もともと集落と村がある程度の地域で、海も近く河川も多いので水につかっているような土地だったようです。家康により治水工事が進められたおかげで、徐々に水災は減少していきましたが、やはり被害は少なくなかったのです。

水は下に流れますので、低地は水災リスクの高い土地として認識されるようになり、富裕層は次第に高台に集まるようになっていきました。江戸時代のころの価値観は「利便性」よりも「災害リスク」だったわけです。

 

現代的価値観と変容

昭和を過ぎ、平成に入ってからは治水技術の発達につれて、東京の水災も年々減ってきました。また、電車などのインフラの充実や商業ビルなどの出現もあり、土地に対する価値観は変容しました。高台以外の土地は「利便性」という付加価値により脚光を浴びました。

 

災害リスク重視の時代へ

平成以降は、「災害リスク」より「利便性」が重視されていた土地の価値観に対し、スーパー台風は、人々に対し過去の価値観を思い出させました。
東日本大震災の記憶がよみがえった人もいるでしょう。あの時も、津波のイメージで海沿いや、新興住宅地の価格がかなり下落しました。
今回もかなりの衝撃でしたので、今後しばらくは江戸時代の価値感「災害リスク」重視で土地を探すことがトレンドとなりそうです。