確かに投資家のマジョリティが駅近である以上、出口戦略を考えても、大きな流れに乗ったほうが良いという考えもあります。
しかし、長期保有で考えるならば、駅距離のあるバスアクセスの物件も悪くないのものです。
※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。
バスアクセスの一棟マンション投資術
なぜ投資家は駅近マンションを好むのか
筆者の経験上、一棟マンションを扱う多くの投資家が、好立地の駅近マンションを選ぶ傾向があります。
理由は明確です。売買も賃貸も需要が旺盛ですから、資産性が高く値崩れを起こしにくいという点、賃貸の空室率も低く抑えられるという点。さらには、値上り期待もあります。
不動産投資は出口戦略が大事と言われますので、多くの投資家が好む立地のマンションを買っておけばリスクが少ないと考えますし、実際その傾向はあります。
しかし、バスアクセスのマンションは決して切り捨てられるべき物件ではありません。
バスアクセスのマンションの特徴
バスアクセスのマンションの空室率は悪くない
駅からの距離があるマンションは、通勤に不便ですので、賃借人に好まれないと思いがちです。ですから、空室率は相対的に高くなると。
しかし、確かに、ワンルーム、コンパクトマンションは、駅から離れるにつれ、空室率は増えていく傾向がありますが、実は、ファミリータイプには大きく差がでていません。
この理由は様々あるでしょうが、ワンルームとコンパクトマンションの主要ニーズは通勤であることに対し、ファミリータイプは家族と居住コストに主要ニーズがあるから、というのは想像に難くありません。
駅近ファミリータイプは、地域住民の可処分所得に比して賃料が高額になる傾向が強いですし、駅から遠い方が周辺環境も良好なことが多いので、多数のファミリーが通勤利便性をあきらめ、賃料が安く環境の良い駅距離のある物件を選ぶ傾向があるのです。
退居が少なく高稼働率
また、ファミリータイプのマンションの借り手は、退居が少ないことでも知られています。一度引越しをすると、再度の引越しには、かなりのコストがかかるからです。
家財道具の量もそうですし、子供の学区、妻のパートの退職等、手続きが多く生じますので容易に退居できません。
加えて、駅距離のある物件は、賃料も手ごろですので、周辺環境に満足していれば、無理に退居する必要性もありません。
ですからファミリータイプが主体のバスアクセスのマンションは、退居の少なさに起因して稼働率が安定するという特徴があります。
利回りが高く、積算評価も高い
バス便のマンションの融資を敬遠する金融機関もあるため、担保評価の点はなんとも言えないところはありますが、需要過多で価格が膨張していない為、不動産の積算価値と同等かそれ以下の価格設定で流通していることが多いです。
また、同じ理由で、人気立地に比べて利回りが高い傾向にあります。
掘り出し物を見つければ
冒頭から述べている通り、売買物件としての人気があまりないため、出口戦略が描きにくいです。買いたいと思う投資家が少ないため、売ろうと思ってもすぐに売りにくい。という特徴があります。
とはいえ、長期保有で永続的にキャッシュフローを得る目的であれば、出口を気にする必要性はありません。
駅距離が遠いとはいえ、探していれば高利回りで安定稼働の掘り出し物が見つかるかもしれません。
POINT
・バスアクセスのマンションはファミリータイプであれば空室率が低い傾向
・退居が少ないため、稼働率が安定しやすい
・駅近物件に比べ利回りが高く、積算評価も高いことが多い
・リセールバリューは低く、出口は描きにくい
・高利回りで安定稼働の掘り出し物が見つかるかも
以上のように、駅距離のあるバスアクセスのマンションには、高利回りで、長期的視野での安定した賃貸経営ができる物件が存在します。
もちろん、周辺環境が生活不便ですと、稼働維持が難しくなりますので、バスアクセスのマンション投資をするのであれば、大型商業施設や商店街などが近隣にあるような物件を選んだほうが良いでしょう。