シェアリングエコノミーサービスが活況です。戦後モノがない時代を味わった日本人は、高度成長期からバブルに向かって、モノを「所有する」ということに執着をしていたように思います。
世代が変わっていく中で、「所有する」という事に対しての執着は消え、「シェアする」ことへの合理性に目が向けられ始めています。そんなシェアリングと、不動産は、徐々に融合を始めています。
不動産業界でのシェアリングサービス、どんなサービスがあるのでしょう。
※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。
シェアリングサービスと不動産
シェアハウスの新しい形
一つの物件に一世帯。そんな世の中に一石を投じたのがシェアハウスの登場でした。もともとルームシェアという形は存在していたのですが、それを赤の他人でシェアするというビジネスが登場しました。
今では当たり前のシェアハウスですが、当初は居住コストを抑えるためにシェアハウスを利用することが主な需要で、ベニヤ板で作ったカプセルホテルのような怪しいシェアハウスが乱立していました。
徐々にシェアハウスの需要は進化し続け、最近は、コスト削減よりもコミュニケーションが需要の目的となっています。シェアハウス内でコミュニティが形成され、人脈が展開する。というシェアハウスのメリットが周知されたのです。
そのため、今のシェアハウスは、シェアしている仲間と共有できる「場」があることが当たり前になっています。共用部分にはカフェやコミュニケーションスペースはもちろん、ビリヤード台があったり、ミニプール、サバイバルゲームができるシェアハウスが登場しています。
若年層向けのものが多かったシェアハウスですが、高齢者向けのサービス付高齢者住宅も、シェアハウス型に少しづつ変わってきています。
ホテルライクな内装に、ウッドデッキでの団らんスペースや共用部にグランドピアノ、温泉付きまで。
私たちの老後には世代に合わせてもっと進化していると思いますので、将来は退屈しないで老後を送れそうです。
ホテル業界に一石を投じた民泊ビジネス
自宅を宿泊用に貸し出す民泊も大ブームになりました。日本はもともとホテル宿泊料が高かったのですが、設備資金にお金がかかるため、目立った競合がでてこず、既得権益に守られていたところがありました。米国から輸入された民泊サイトが大ブームを巻き起こし、低コストで始められる大量の民泊物件が市場に溢れ、ホテル業界が圧迫され始めました。
無秩序になりすぎて規制がかかりましたので、現時点では優秀なプレイヤーが生き残っており、最近はほぼホテルと遜色無いような物件も登場しています。
民泊ビジネスの今後の展開は、マンスリーマンションやホテル業界との融合がカギでしょうか。低コスト・高品質の滞在型の宿泊施設などの需要が高まっています
非定住型のプラットフォーム
民泊をサブスクリプションと融合させたようなサービスが、この非定住型のプラットフォームです。会員は、毎月定額の会費を払うことで、日本全国津々浦々に存在する施設に泊まり放題できるというサービスです。気分に合わせて海沿いだったり、山奥だったりと、住むエリアを好き勝手に変えることができるため、低コストで非定住型のライフスタイルが実現します。
この非定住型のプラットフォームは、地方の物件の利用が促進されるという事で、全国の空き家問題への対策に有効かもしれません。最近始まったサービスなので、今後大きく展開していく可能性があります。
シェアオフィス・レンタルオフィス
オフィス業界にもシェアの波が訪れています。シェアオフィスも年々利用者が増えており、大手不動産会社も参入しています。こちらもシェアハウス同様、コスト削減の需要から、高付加価値型の需要へと顧客が変化していっています。代表的なものは銀座で新しく建築された商業施設のテナントに入ったシェアオフィスです、低額家賃で銀座有名商業施設のアドレスが取得できると、注目されています。
不動産業界とシェアリングエコノミーはかなり親和性が高そうなので、今後もっと面白いサービスが展開すると思われます。しかしながら、現在は新型コロナウイルスの影響を大きく受けている分野でもあります。
こういった危機はイノベーションが起きる契機となりますので、さらなる進化が起こりうる可能性があります。まだまだ参入チャンスもありそうなので、今後、新規参入する会社にも注目です。