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不動産の災害リスクにはトレンドの周期がある?

不動産と災害はつきものです。災害に伴い被災地は一気に人が離れていきます。しかし、人は忘れる生き物です。関東においても、ここ10年くらいで生じた災害に伴い、一気に人気が無くなり暴落した地域があります。しかしながら、今はどの地域も人気は回復しています。

※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。

不動産の災害リスクのトレンド周期

 

東日本大震災で不人気となったエリア

東日本大震災の牙は関東にも襲来しました。関東地方の不動産にも甚大な影響がでて、各所で被害をこうむりました。

被害を受けた物件は、旧耐震のマンション。地盤が弱いエリアでの沈下傾き。施工不良のマンションの外壁剥落などです。

 

旧耐震マンションの被害

当時旧耐震のマンションの売却の契約する予定でした。契約の前日に東日本大震災が襲来しました。物件を確認に行ったところ、共用廊下の天井が完全に崩落していて、戦争でもあったのかという状態になっていた記憶があります。

もちろん、契約はキャンセルとなりました。

各所の旧耐震のマンションで被害があったようで、東日本大震災の年は、旧耐震のマンションがかなり不人気な一年となってしまいました。

そのようなトレンドではありましたが、その後旧耐震のマンションは完全に震災の傷が忘れられたかのように活発に取引がされています。

 

湾岸地区や、関東の地盤の弱いエリア

こちらは、購入の契約後の物件で被害を被りました。購入契約をしていた某地域の戸建てが地震の影響により傾いてしまったのです。

他にも地盤の弱いエリアは、マンションの専用庭部分が1mクラスで沈下したり、高級住宅地が軒並み沈下等の被害を受け、こういった地域の戸建ても全然買い手がつかない日々が続きました。

しかし、こちらの物件も近年は特に問題もなく普通に取引がなされています。

 

海沿いの物件

東北地方では未曽有の津波が都市を襲いました。関東圏での被害は甚大ではありませんでしたが、あの津波のイメージは人を海から遠ざけました。

サーファーなどが好むようなマンションや戸建ては人気の立地として高く取引されていましたが、東日本大震災後の1年間は一気に取引量が落ちました。

こちらも現在では不人気どころか、海近くの物件はその人気を取り戻しました。

 

スーパー台風で不人気となったエリア

2019年に発生したスーパー台風では、河川の氾濫や低地の溢水、タワーマンションなどが被害を受けました。

 

河川氾濫リスクの高い川沿いの物件

多摩川の河川の写真は衝撃的でした。多摩川は、かろうじて一部の漏水だけで済みましたが、恐怖のイメージは頭に刷り込まれました。

この台風の後、河川や池の近くであることを、住宅購入検討者がかなり気にするようになりました。

契約予定であった、池近くの鉄骨アパートなどのキャンセルがあり、残念な思いだった記憶があります。

こちらはすでに台風前と同じ価格で買い手がついていますが。

これも、まだ若干のイメージは残っていると思われますが、回復基調にあります。

 

ハザードマップ記載の低地エリア

販売中の低地に立地するマンションの1階の物件や戸建てが腰程度の高さまで浸水し、改修する時間が必要とされ、台風直後の販売に影響が出た経験があります。

特に取引の際のハザードマップが脚光を浴び、不動産業者も神経質になっていた時期があります。最近は違う災害に視点がいっているせいか、こういった低地エリアの嫌悪感も薄れつつある模様です。

 

タワーマンション

浸水による電力ストップをしてしまったタワーマンションがありました。30階40階等の上層階まで階段で昇り降りをしなければならないというイメージが強く残りました。

タワーマンションに関しては、売れ行きが悪くなったわけではなく、中層階や低層階の人気が高まるという状態になりました。

災害で電力が止まったとしても、低層中層であれば階段で昇り降りできるから、という理由です。

 

結局どの地域にも災害リスクがある

つまり、災害で焦点を浴びたエリアは、一定期間不人気となりますが、しばらく時間が経つと、その強烈なイメージが緩和され、人が戻っていく傾向が不動産にはあるのでしょう。

という事は、不人気となった時点で、その物件を購入すれば、地価が上昇する可能性が高いという事も言えますね。

いわゆる逆張りという考え方なのでしょうが、こういう捉え方も面白いかもしれません。

ここに挙げた地域も、たまたま被災しただけであって、実際はどのエリアにも災害リスクがあるという事実は不変です。

たまたま顕在化したリスクだけ気にして、運良く顕在化していないリスクは気にしていない。というだけなのかもしれません。

 

こういったスポットの当たった場所に対しては、自治体も対応策を取りますので、災害後の災害リスクが薄れることもあるのでしょう。耐震補強や治水工事、地盤改良等、さまざまな新技術が生まれ、積極的に活用されています。
被災地は逆に、今後災害リスクが改善していくと捉えるのか、それとも同じようなリスクがあると捉えるのか。どちらが良いのでしょうか。