全国的な課題となっている空き家問題ですが、いまだ有効な一手が見つかっておりません。法改正による相続登記義務化等、行政は積極的に動いています。その努力は認められる部分があるとは思いますが、本質的な問題があるように感じます。それはそもそもの地方活性化です。
※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。
止まらない空き家問題と地方活性化
増え続ける空き家
空き家で発生する問題は、雑草の発生による虫害や景観悪化、朽壊に伴う家屋倒壊の危険、空き家からの盗難・強盗の発生等、社会に深刻な影響を与えます。
有効利用できない不動産は、税金や維持費のみが必要とされる負動産になってしまうため、所有者の相続人は売るに売れず、そのまま相続登記もせず放置をすることになるため、空き家が生まれてしまうのです。
行政は、現在この相続登記の義務化の動きを見せています。
しかし、これは本質的な改善になるのでしょうか?
いくら空き家の所有者を特定したところで、利用価値が無いとそもそもの問題は解決しません。
地方活性化への施策
この問題については、空き家はなぜ利用価値がないのか?というところから考えるべきではないでしょうか?
地方の空き家の利用価値がない理由は、根本的にその地方の利用が活性化されてないところにあります。
日本は一極集中型となっており、地方のコンテンツが有効活用できていません。
地方に陽があたらない状態が長らく続いています。自治体によっては観光資源や町おこしなど盛んに挑戦をして、成功しているところもありますが、多くは失敗に終わってしまいます。
なぜ、地方に人が集まらないのでしょうか?
地方活性化の足を引っ張る交通費
筆者は海外旅行に良く行くのですが、日本の観光にはあまり積極的ではありません。
もっとも大きい理由は、「交通費」です。
大阪まで行くのに、新幹線で往復28000円。高速で往復24000円。必要とされます。同じくらいの距離のイタリアのローマーヴェネツィア間はitaloを事前購入すれば往復12000円程度です。
日本の場合は、運航会社がJRのみですから、電車を利用しようとした場合には28000円のチケット一択なのです。
さらに、高速は往復4000円程度です。
日本の交通費は圧倒的に割高なのです。
ですから、まず国がやるべきことは、この交通費の異常な価格高騰への対策でしょう。東京から大阪まで5000円程度で行けるような価格水準となれば、海外に逃げている旅好きが日本の旅行をするようになるでしょう。
宿泊費の異常な価格設定
また、宿泊費も海外に比べるとかなり高いと感じます。
ヴェネツィアなどでちょっと良いホテルに宿泊するとしても20000円あれば選択肢が豊富です。
対して日本の場合は、まず謎の人数設定。なぜか二人で宿泊すると二倍の料金を取られます。また、週末の価格高騰も激しいです。平日4000円くらいのシングルタイプのビジネスホテルが週末には30000円程度まで跳ね上がることがあります。良い感じのホテルだとそれ以上になります。
最近は民泊やカプセルホテルなどが増えてきましたので、このホテル業界の価格高騰は抑えられつつありますが、それにしても高いと感じます。
交通費と宿泊費のコストを下げる
風が吹けば桶屋がもうかる。バタフライ効果のような考えではありますが、
交通費と宿泊費を下げる→観光による移動が活発になる→地方にお金が落ちる→再投資で地方の街が発展→インフラ充実で人口が増える→空き家が減る
という流れになるはずです。
つまり、空き家問題とは、それ単独の問題ではなく、地方の活性化が進んでいない日本の構造的な問題であり、その問題は交通費と宿泊費を下げることによって解決に向かう。という事です。
空き家問題への努力
それ以外にも人口減少などの原因ももちろんありますが、地方が活性化すれば、利用用途も増加しますので、投資家などが手を出すことも可能となるでしょう。
行政は、まずこの日本の構造的な問題と、交通費と宿泊費という具体的な課題に気づいてもらい、そこから空き家対策を始めてもらいたいと思います。
この交通費・宿泊費に対する問題提起は私個人でコラムに書いていたところで、どうしようもないでしょうが、このコラムを読んだ方が少しでも賛同していただき、国に提言していただけると嬉しい限りです。
道の駅での車中泊が増加して問題になっているというニュースが昔ありましたが、日本のこの宿泊費では車中泊でもしない限り、一般大衆の長期旅行は困難です。また、某観光地等、観光客からお金をむしり取るだけの考えで経営しているような地域もあります。日本は観光で成功している他国を参考にして観光の改革が必要です。中華系インバウンド頼り一辺倒ではいずれ外資依存の国になってしまいます。国内旅行を活性化することが日本の未来につながるでしょう。