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相続登記の義務化と土地所有権放棄制度と新ビジネス

全国で未管理の所有者の不明な土地が増加していることを受けて、関係各省庁により、制度改正の方針が立てられています。
まだ検討段階の話ではありますが、相続登記の義務化、土地所有権放棄制度、遺産分割の期間制限などが行われるようです。
空き家問題の解消の一手になるのでしょうか?これに伴い、今後どういうビジネスモデルが生まれるのでしょうか。

※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。

所有者不明土地問題と新ビジネス

 

所有者不明土地問題への対策取り組み

所有者不明土地が引き起こす社会問題は、管理不全による周囲への影響、再開発に向けた土地取得の阻害。など様々な事柄があります。

年々規模は増え続けており、2016年時点で410万ヘクタール、九州本土の面積である370万ヘクタールを上回ってしまっているようです。

この問題に対して、国が本格的に動き始めています。

2019年に財務省より発表された所有者不明土地等に関する検討状況によると、

所有者不明土地の発生予防への方策

・相続登記の義務化
・土地所有権の放棄制度の設立
・遺産分割の期間制限

所有者不明土地を円滑・適正に利用する仕組み

・民法の共有制度の見直し…共有者一部でも利用処分を可能に
・所有者不明土地の管理の合理化…所有者不明土地の管理者を新設
・民法の相隣関係規定の見直し…導管等の設置の為の他人地利用

などの具体的な施策が検討されているようです。

目標地点は2020年です。

 

所有者不明土地問題対策後のビジネス

司法書士・土地家屋調査士・行政書士

この施策が施行された場合、まず仕事が増えるのは、司法書士・土地家屋調査士・行政書士でしょう。

全国で410万ヘクタール(2016年時点)の規模の土地が今後相続登記される訳ですので、その登記手続には司法書士や土地家屋調査士が関係してくるでしょうし、相続人の調査に当たっては、行政書士も絡んでくることになります。

 

不動産デベロッパー

共有者の一部が不明でも、土地の処分が可能となったり、所有者不明土地内へ引き込んでいる導管の使用許可が不要になるという面では、不動産デベロッパーが恩恵をあずかることになるでしょう。

今まで所有者不明土地が存在したために、開発が進まなかった地域の開発を容易に行うことができるようになるためです。

 

不動産管理会社

所有者不明土地の管理の制度が創設された場合、この相続人不存在の土地の管理は、今まで相続財産管理人によるところもありましたが、今後は民間に外注することも考えられます。

そうなると、経験とノウハウを有する不動産管理会社への発注がなされる可能性がありますので、管理会社の仕事量も増えてくると思われます。

  

新ビジネス筆頭はエリアリノベーション

近年エリアリノベーションという考え方が盛んです。

リノベーションとは、通常、老朽化した建物をリフォームにて蘇らせる手法なのですが、この概念を街全体に広げたのがエリアリノベーションです。

老朽化、過疎化した街全体の建物をお洒落な雰囲気に改装して、カフェやアパレル、美容院などを誘致して、街全体を活性化させ蘇らせる手法です。

東京の東日本橋の問屋街周辺や、岡山の問屋町などで自然発生的に行われています。

周辺のすべての所有者が賛同する訳でもありませんし、費用も自費ですのでなかなか手を出しづらい環境ではありましたが、所有者不明土地に対する国からの委託管理者とその他の建物への助成金等の制度があれば、民間の協力も得やすくなります。

このエリアリノベーションの手法が確立されれば、地方の過疎化を防止するとともに、観光流入や地域の活性化も促進されますので、周辺の空き家問題も解決しやすくなりますし、地方財政も潤うことになります。

まだまだ先の話になるでしょうが、今後はエリアリノベーションに注目すべき状況が訪れるかもしれません。

 

今後、テレワークが盛んになる社会情勢に変化していきますと、ますます都内に住居を構えることにこだわる必要が無くなってきています。
インターネット環境と生活施設の充実さえあれば、どの都市に住んでも構わない状況になりますので、自然環境豊かな山中や地方の海沿いなどが脚光を浴びることになるかもしれません。
光を浴びていない自然豊かな地域が日本には沢山あります。

参考サイト:所有者不明土地等に関する検討状況―財務省理財局