一棟マンションを検討する際にエレベーターの有無は判断の大きなポイントとなります。一般的にはEVが無い物件は賃貸で人気が無いカテゴリに入りますので、エレベーター有の物件を選んだほうがよいというのが一般的な見解です。
しかし、エレベーターにはメンテナンスコストが必要とされます。果たして、エレベーターの有無、どちらが賃貸経営に有利なのでしょうか?
※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。
一棟マンション経営とエレベーター
エレベーターの有無と賃料
現代人の生活においては、エレベーターが当たり前となっています。
オフィスもデパートも駅も、エレベーターやエスカレーターが完備しており、頻繁に階段を利用しなければならないことは余りありません。
住居においては、毎日出入りする関係上、エレベーターの有無は、日々の生活に多大な影響を与えます。
ちょっとコンビニエンスストアに行くにも階段を利用しなければならないとなると、腰が重くなります。
ですから、一般的にはエレベーターのない物件よりは、エレベーターのある物件の方が賃料が高く設定されます。
エレ無し物件で人気が無いのは何階まで?
しかし、日常生活で階段を一切使わないということもまたありません。エレベーターの場合はいちいち待機時間が必要とされますので、階段の方が手っ取り早いというメリットもありますね。
また、戸建ては2、3階建てのモノが多く、階段が基本です。ですから、3階程度であれば、階段は苦にならない方が多いのではないでしょうか?
こういった点から考えると、エレベーターが無いことで影響を受けるのは、4階以上の住戸であると考えられます。
エレベーターが無いとしても、3階建てまでの物件であれば、大きな影響はないと考えてもいいかと思います。
エレベーターのメンテナンスコスト
エレベーターの誤作動による事故のニュースを目にしたことがある方は多いでしょう。エレベーターはその特性上、メンテナンスや保守管理をしないと、事故を起こしてしまう設備となります。
ですから、法令上も、定期検査と保守点検の義務が課されています。
定期検査は年一回程度、保守点検は随時必要とされます。
これは、基本的にはエレベーターの管理会社に委託することとなりますが、エレベーターがある物件に関しては、この管理委託コストが必要とされます。
フルメンテナンス契約とPOG契約
エレベーターの管理委託契約にはフルメンテ契約とPOG契約と二種類あります。
フルメンテ契約とは、月々の管理料が若干高い設定となりますが、保守点検で発覚した部品などの交換費用の負担が一切ない、という内容の契約となります。
POG契約は、フルメンテ契約に比べて月々の管理料が安くなりますが、保守点検などで発覚した部品などの交換費用は実費での支払いとなるという契約です。
この二つに関しては、どちらを選んだ方が良いかは、状況などによって変わりますので、都度判断をしていくしかないでしょう。
エレベーターのリニューアル工事
エレベーターは20~30年で交換することを推奨されています。交換、改修などはその時の状況や判断次第とはなりますが、実際交換が必要とされた場合は、かなり高額の費用が必要とされます。
エレベーター付きの物件には、こういった、月々のメンテナンスコストやリニューアル工事などの費用の負担が生じるのです。
エレベーターのない3階建ての低層
エレベーターの話だけに焦点を当てて物件を見ていった場合、エレベーター無しの3階建てまでの低層マンションに一番メリットがありそうです。
3階まででしたら賃料や空室率に大きな影響を与えることはありませんし、エレベーターが無いので、保守点検コストやリニューアル工事が必要とされません。
主に、低層住宅地にあるマンションなどがこういった形態で建築されています。
低層住宅地は、一般的に閑静な住宅地であることが多いので、賃貸需要も安定しています。ですので、安定した賃貸経営ができるでしょう。
こういった視点で賃貸経営を考えてみても面白いですね。
賃貸だけでなく売買でもエレベーターのない物件は人気がありません。昔ながらの団地などですと、エレベーターのない物件が大半ですが、1階と5階では価格が大きく異なってきます。
しかし、階段を耐えられる人であれば、その価格差を享受できることにもなります。階段の利用は健康にもいいですし、敢えてエレベーターのない物件に住んでみるのもいいかもしれません。