住まいには二つの居住方法があります。住宅ローンや現金で不動産を購入して住む方法、賃貸借契約を結び住む方法。この二つの方法のうち、どちらが良いのかの議論は長年行われ、答えが出ません。賃貸のメリット、売買のメリットとはそれぞれどういったものでしょうか?
※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。
マンション賃貸・売買どちらが最適か
賃貸で居住する場合の特徴
賃貸で不動産に居住する場合、オーナーと賃貸借契約を結び、契約した賃料を月々支払うことで、住まう権利をもらいます。
賃借人は、住んでいる不動産が自分のモノではない為、一定の制限を課されます。
勝手に工事をすることができない
人のモノに居住するので、基本的に、そのモノを大きく変更するような工事を行うことはできません。もちろん、許可を得れば可能ではありますが。
ですから、リノベーションや、水廻りのリフォーム、壁紙の貼替、などの工事が好き勝手にできないという点はデメリットになります。
契約を解除するだけで引っ越しが可能
賃貸は、賃貸借契約という契約の関係ですから、契約を解除すれば、その不動産に対する権利義務は一切なくなります。
契約の解除の申し込みをした後に、契約を解除することで、すぐに引っ越しが可能ですから、身動きは取りやすいと言えます。
賃料は住宅ローンより割高なことが多い
賃料設定は、住宅ローンで家を買う場合の返済額に比べて割高な設定の物件が多いです。ですから、同等の物件を比較した場合の月々の支払額は、賃貸の方が多くなるでしょう。
設備などの故障の負担は、基本オーナー側
賃貸物件の設備は、賃料に含まれているという考え方をしますので、賃貸物件の設備が故障した場合は、オーナー側が修理義務を負います。ですから、例えば給湯器が壊れたり、キッチン水栓から漏水があったとしても、修理費用の負担はありません。
購入して居住する場合の特徴
購入して居住する場合の最大のメリットは、自分のモノであるという点です。工事をしようが、壊そうが、汚そうが完全に自由です。
リノベーション・リフォーム工事が自由に行える
ですから、自分好みの内装に室内を改変することが可能です。マンションの場合は一定の制限、戸建ての場合も建築基準法上の制限を受けるには受けるのですが、賃貸物件よりははるかに自由に使うことが可能です。
誰に気兼ねすることもなく自由に気ままに居住することができますね。
引っ越しをしても所有権はそのまま
所有をするという事は、その不動産に住む必要がなくなったとしても、その所有権を手放さない限りは、その不動産に対する権利義務が残ってしまうという事です。
住宅ローンを組んで、不動産を購入していた場合は、その借金を完済しない限り、住宅ローンの返済を続けなければなりません。
不動産を売却するには、一定の期間と費用が必要となりますので、気軽に引っ越しをできない点は、不動産を購入した場合のデメリットになるでしょう。
住宅ローンの返済は賃料より安く、元本が積み立てられる
不動産市場相場は、多くは賃料より住宅ローンの返済額が少ない額となります。ですから、購入して居住した場合は、月々の支払い負担が賃貸より減ることになります。
また、住宅ローンの返済には金利が含まれますが、元本返済部分もありますので、元本返済部分は、積立預金のように、自分の資産へと積み上げられます。
賃貸の場合は、賃料は一切自分のお金になりませんが、住宅ローンの返済は、元本部分の返済が自分のお金になりますので、そういった点では購入の方に分があります。
設備などの故障の際の費用負担が必要
賃貸の場合は、設備などの故障の修理費用の負担は不要でしたが、購入して自分の不動産の場合は、この修理費用の負担が必要となります。
キッチンやユニットバスなど、大きな設備が故障した場合は多額の修理費用の負担が必要となってしまいます。
結局のところ、どちらがいいのか?
以上を踏まえたうえで、賃貸と売買、どちらが良いのでしょうか?
特別な状況がなければ、買ってしまった方がいいというのが私の結論です。
特別な状況とは、転勤が多いなど、引っ越しを何度もしなければならないような状態にいる人、また、賃貸の場合は、会社からの家賃補助の対象となったりしますので、家賃補助がでる方などです。
売買の最大のメリットは、住宅ローンの返済のうち、元本部分は自分の資産になるという点です。何十年も支払い続けた場合は、賃貸と、売買の差は大きく変わってきます。
住宅ローンの返済は、積立預金のような要素があります。住宅ローンを完済した後は、その不動産が手に入ることになりますので、その資産を得ることができますが、賃貸の場合は、いくら払い続けても資産形成にはなりません。
筆者は購入を選びましたが、購入で失敗している人もいますので、議論となるのだと思います。不動産購入で失敗する人のうち、最も大きな原因は、購入可能額限界の物件を選んでしまうことにあるでしょう。
長い人生の間には会社の倒産などの理由で収入が大きく減じてしまうことがあります。購入可能額限界の物件を選んでいると、そういった状況に陥った際に、逃げ道がなくなってしまうのです。
現時点の収入だけではなく、リスクを考慮して余裕を持てる不動産を購入する必要があります。