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賃貸経営に必要な法定点検のまとめ

賃貸経営を始めると、その管理についての社会的責任も付随してきます。とくに大型の共同住宅は、大人数が居住する為に、緊急時のリスク対策に法律上の制限(法定点検)がかかります。
法定点検が必要なマンションを保有すると、その点検コストが発生することになります。どういった物件に点検コストが必要となるのでしょうか?

※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。

賃貸経営に必要な法定点検のまとめ

 

殆どの共同住宅に必要な消防点検

一棟マンションは共同住宅で大人数が居住しています。火災時に備えた対策をしていないと、大事故につながり、大家の社会的責任も計り知れないものがあります。

仮に火災が発生し、大人数の死者が出てしまった場合、とんでもない大惨事になりえます。

消防点検はとても大事な点検ですので、しっかりと行いましょう。

どの物件も共通しているのは6か月に1回の機器点検と1年に1回の総合点検となります。

共同住宅においては、消防署への報告の期間は3年に1度とされています。

賃貸経営をしていると結構頻繁に必要となりますので、大家業の長い方は慣れているでしょう。

 

防火管理者

また、50人以上の収容人数がある共同住宅は防火管理者の選任が必要となります。500㎡以上の建物の場合は、甲種防火管理者、500㎡以下の建物の場合は乙種防火管理者の資格が必要です。

防火管理者の資格は、講習にて取得することが可能です。東京の場合は下記サイトを参考にしてください。

東京消防庁:防火・防災管理講習

 

受水槽・ブースターポンプ

 

受水槽・高置水槽

次は、水道関連です。水道は日常の飲用水として利用される為、一定期間内での点検が必要となります。

ホラーストーリーなどで、受水槽の中から死体が発見された等の話がありますが、そんな状態の水道水は恐ろしくて飲みたくはありません。

賃貸経営をしていると、面倒だなと感じるこの受水槽の点検ですが、こういった事を考えると必要な作業だなとつくづく感じます。

受水槽がある物件は、建物の周囲や屋上に、大きなタンクがありますのですぐにわかると思います。

貯水槽の有効容量が10立方メートルを超えるものは「簡易専用水道」となり、年一回以上の清掃点検が必要となります。

10立方メートルを超えないものは、点検は義務ではありませんが、賃貸経営とリスクを真剣に考えると、点検清掃をした方が良いのは間違いありませんね。

参考サイト:東京都水道局 受水槽や高置水槽の適正な管理

 

ブースターポンプ

受水槽が無い物件でも、点検が必要な場合があります。

受水槽が無い場合は、水道を直結しているのですが、水道から排出される水を上層階まで引き上げるためにポンプが必要となる場合があります。

これがブースターポンプなのですが、このブースターポンプも各自治体の条例によって、年1回の点検が必要です。

参考サイト:東京都水道局 水道設備の維持管理

 

建築基準法に基づく検査

一定の規模の共同住宅は特殊建築物として、建築基準法の検査の対象となります。

共同住宅の場合は、階数が5階以上で、床面積が1000㎡を超える建物に検査が必要となります。

必要な定期調査と検査報告は4つあり、3年に1度必要な検査として、特定建築物の定期調査、1年に1度必要な検査として、防火設備の定期検査・建築設備の定期検査・昇降機の定期検査が必要となります。

防火設備の定期検査は消防点検と同じように思われますが、所轄官庁と調査場所が異なりますので、どちらも必要となります。

自治体によっては、タイルの打診検査を定期的に行っていないと、検査報告を受理できなかったり、非常灯の交換となるとその数量から費用も相当な金額となりますので、点検指摘項目の是正工事は、まあまあお金がかかります。

5階以上で1000㎡を超える建物を保有する際は、その社会的責任とそれを維持するための費用もかかるという認識が必要ですね。

参考サイト:東京都都市整備局 定期調査・検査報告制度

 

ここに記載した以外でも、自治体や設備によって必要な点検が他にある場合もあります。一定規模の共同住宅を保有して大人数の人間を居住させる場合には、社会的責任が発生してしまいす。京都で発生した、大人数の死者が出てしまった事件の物件は、消防点検や避難訓練を行っていたようですが、それでもあの惨事になりえます。
特殊建築物となると相当な点検コストが発生しますので、敢えて小ぶりなアパートを数多く保有する形の方がキャッシュフローが維持しやすいこともあり得ますね。