不動産キキタイコラム

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AIで不動産査定をする未来考察

不動産テック業界は古風な不動産業界に風穴を開けようといろいろな取り組みをしていますが、その中でもテーマとして掲げられているのは、「不動産価格の可視化」なるものです。
彼らは、ビッグデータを駆使して、不動産のマーケットを、株式市場のようにオープンな形に転換していきたい意欲があるようです。果たしてそんなことが可能なのか?不動産業界人としての考察を述べたいと思います。

※重要な判断に関与する記事です。判断をされる際には、必ずご自身で専門家等に事実確認をお願いいたします。

AIで不動産査定ができるのか

不動産価格はどのように決まるのか

不動産価格算定は不透明なので可視化したい。という旗印のもとに進んでいるAI査定ですが、そもそも不動産価格とはどのように決まるのか。そこが重要です。

不動産鑑定士による鑑定評価、取引事例比較法・再調達原価による原価法・公示地価・収益還元法etc…今存在する価格査定手法はいろいろな方法があります。

不動産業者は、この価格査定手法を駆使して、依頼者に価格提示をしています。実はこれには正解はありません。なぜならば、不動産という商品には、価格に影響する要素が多すぎるのです。これが、不動産価格が不透明と言われる遠因です。

単純な居住用不動産だけで考えても立地、周辺環境、学区、日当たり、間取り、設備、内装の色味、構造は、分譲主の信頼感は、隣の住戸の住民は…。ざっと上げただけでも大量に要素がでてきます…。これは氷山の一角だと思ってください。

 

属人的な背景もあり、同じ不動産はない

不動産の要素だけでも前述提示したほど、大量にあるのですが、さらにこれに加え、売り手と買い手の取引理由や背景も加わってきます。すぐに売りたい人もいれば、すぐ売らなくて良い人もいます。

時期によって需給バランスはめまぐるしく変化したりもします。 全部の要素を盛り込むのは不可能に近いほど複雑な商品です。 売手も買手もさらには商品まで、画一的ではない為判断が難しいのです。

 

価格査定の正解は?

では、不動産価格査定の正解は何でしょうか?それは、売主が売ってもよい値段と、買主が買ってもよい値段が合致したときです。乱暴な言い方ですが、これに尽きます。

この絶妙な価格を見つけ出すためには、不動産業者という専門家に頼むか、自分で絶妙な価格を見つけだすしかありません。不動産業者にも様々な個性を持つ方がいますので、状況に合致している人を見つけ出すか、セカンドオピニオンなどを活用しましょう。

 

工夫でも価格が変わる

あとは、工夫して加工することでも価格は変わります。問題のある箇所を改善したり、解体をしてから売出したり。プロの不動産業者は、この工夫で加工して、商品に付加価値をつけて売却するのが得意です。

これは目利きと経験と資本がないとなかなか難しいのですが、そういったことができる方は取り組んでみてもいいかもしれません。

不動産業者は独自の視点とテクニックで付加価値をつけ、資本投下リスクを背負って商売をしているのですが、これをもって価格が不透明と揶揄されるのは少々気の毒ですね。

 

AI査定の今後

複雑な計算が一瞬でできる量子コンピューターなどが普及したら、この複雑な商品に対応できるAIも登場するかもしれません。
しかしそれでも、AIの個性によって価格査定が変わってしまう未来が見えます。
結局、そんな世の中になったとしても、自分の状況に合致したAIを見つけるために、いろいろと苦労しなければならなくなような状態になるのではないでしょうか?
開発者の方がどれだけのモノを作れるか、楽しんで見守りたいと思います。